dof trip Shanghai Report
~ 上海のNew Business篇 ~

「文化と価値の創造」をミッションとして掲げるdofでは、定期的に社員が世界の「文化と価値」を体験する社員旅行、“dof trip”を行っています。今回dofメンバーが訪れたのは中国最大の大都市「上海」。近年、経済の停滞が囁かれる中国は実際のところ、どんな状況なのか?様々な文化と価値を体験する中でdofメンバーが発見した上海の今を、“dof trip Shanghai Report”と題して前中後篇でみなさまにお届けします。
前篇のテーマは、上海の“New Business”。中国国内のみならず世界から注目を集める3つの企業を訪れ、社員や投資家のみなさまと交流をする中で得た気づきを、dof tripに参加した各メンバーの視点からレポートしていきます。それではどふぞご覧ください。
中国最大物流企業ZTOから
学べること(真似べること)は何か?


初日の11月8日、dofメンバーがまず訪れたのは、中国最大手の物流企業「ZTO中通國際」です。中国EC市場の拡大と共に、20年あまりで中国トップの物流企業に発展したZTO。その裏側に潜入しました。
巨大な本社に招かれたdof一行。神々しく展示されZTOの歴史や、最新テクノロジーの数々に圧倒されます。アテンドしてくれたのは、dof代表・齋藤太郎の知人である、投資家のGilbert Zengさん。彼はAffirma Capitalの創業パートナーでZTOの出資者です。


ZTOの成長を支えた戦略の一つは、地方運輸業者を巻き込むフランチャイズモデル。ZTOはEC物流の供給側との契約を多く持つことで、荷物の供給優位に立ち、地方の配送需要を安定させ、首都圏から地方までの物流網を強化。一気に物流企業のトップまで上り詰めたとのこと。配送センターも見学させて頂きましたが、物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)や、自動運転の進展も並行して充実させ、より効率的な物流網を築こうとしています。
※物流センターは残念ながら撮影は不可


印象的だったのは2つ、1つ目は習近平国家主席からの称賛コメントが大きく紹介され、その重要性が強調されていたことです。Gilbertさんに理由を聞くと、政府との良好な関係を維持することが、企業発展のために欠かせず、ZTOの成功には、中国共産党の政策適応が欠かせない要素だったと教えてくださいました。2つ目は、創業者Meisong Lai氏の最終学歴が小学校卒業だったという事。中国は学歴社会が激しさを増し、教育コストは高騰し、格差が拡大していると聞いていたので、そんな環境でも、発想力と行動力でこの成功を収めたLai氏の姿に勇気をもらえた気がしました。(僕の隣で齋藤太郎は、くそーdofも創業20年で2年しか違わないのに全然違う。悔しい!と言っていました(笑))

最後に、真似したいな・真似できないなと感じたことが多かったのはZTOのカルチャーづくりです。その1つ目は、1年に1度、全国の配達員に感謝する日を設け、社員の家族にも贈り物を贈ることで従業員への敬意を示す記念日を設けていること。これはボクら日本の企業でも真似できそう。2つ目は、社員同士の結婚を奨励し、毎年合同結婚式を開催することで、家族ぐるみの関係を築き、組織の結束を高めていること。日本だと、今の時代、真似するのは難しそうですよね。一方で、企業としてのファミリー感の醸成が企業の強さの秘訣だと感じました。
中国市場を切り拓く挑戦者、日本企業Yoren。
上海から中国を席巻。そして世界へ。


続いて2日目の11月9日、dof一行が向かったのは、日本人である金田修さんが代表を務め、中国で企業のコンサルティングやDX支援、デジタルマーケティング支援を行っているYoren社です。Yoren社は、実は過去にdofがMissionの作成をお手伝いをした企業でもあり、過去にdof talkの取材でCOOの栗栖祐哉さんに企業ミッション開発の経緯も伺ったことがあったため、個人的にも感慨深いオフィス訪問となりました。
Yoren社のミッション開発についてはこちらのdof talk記事をご覧ください


オフィスを訪れてまず驚いたのは、出社をしている方の多さと社員のみなさんが発する熱量。Yoren社ではロックアウトの期間を除き、コロナ禍でも社員は全員出社をしていたとのことで、社員のみなさんが会話をしながらイキイキと仕事に臨まれている姿が印象的でした。
中国ではコロナ禍でも、コロナ後も、ビジネスはリアルコミュニケーションが重視されているらしく、出社はもちろんミーティングや商談も対面が基本とのこと。逆にリアルなコミュニケーション無しでは礼を欠いていると見なされ、商談がうまくいかないこともしばしばなのだとか。コロナ後もリモート出社が広がりを見せる日本とは対照的で、中国でのビジネスは義理・人情・相手への尊敬の気持ちがとても大切にされるそう。このあたりのビジネス慣習については、中国の儒教的な思想も関係しているのかもしれません。

一通りオフィスを見学させていただいたあとには、Yoren社でCIO/CAOを務める北川伸明さんからYoren社のビジネスや中国市場についてお話を伺いました。
その中で印象的だったのは「14億のデータのパワー」に関するお話です。中国市場におけるデジタルマーケティングやEC支援を行うYoren社には日々膨大なユーザーの行動・消費データがストックされます。そうした14億人のビッグデータを使って、企業へのコンサルティングを行ったり、より精度の高い次のマーケティングの打ち手につなげていくのがYoren社のスタイルなのだそう。
日本でもデータオリエンテッドなマーケティングは定石とも言える手段ではありますが、中国という巨大市場の生きたデータを持っている日本企業というポテンシャルは、Yoren社にしかない唯一無二のものだと感じました。また中国でいま起こっている消費行動は、今後インドや東南アジア、アフリカなど成長中の新興国の未来でも起こりうるものだとも言えます。
そう考えると、中国という一つの市場のみならず、世界中のフロンティアに通用するナレッジがYoren社という企業に蓄積されていること。そのことには、すさまじい価値があるのではないでしょうか。

▲ 北川伸明さん NTTドコモで営業、経営企画、国際ビジネス部を経たのち、2006年サイバーエージェントグループでベンチャー投資事業を運営するサイバーエージェント・インベストメント(現サイバーエージェント・キャピタル)入社。2008年の海外投資担当取締役就任後、一貫して同社の海外投資事業を牽引。中国大陸、台湾、東南アジア及び韓国への進出、チーム作りなどをリード。Kakao Corp(韓国)、Tokopedia(インドネシア)といったメガベンチャーに自らアーリーステージで投資実行した実績も持つ。一橋大学経済学部、米国ジョージタウン大学経営学修士卒業。2008年より中国に在住。

苦境を迎えていると言われる中国経済。一方で、上海、そしてその先にある中国14億人市場、さらには未来の新興国への展開など、Yoren社のビジネスには日本では体験しえないスケールの大きさを感じました。今後もYoren社という日本企業の成長を、同じ日本人として応援し、見届けていきたいと思います。
若者による若者のための新しいドリンクを。
「元気森林」、成長の秘訣とは。


いま中国全土の人々の間で新たな定番となっている飲料メーカーがあります。その名は、「元気森林」。2016年に創立された元気森林は、モバイルゲーム事業を成功させた連続起業家である経営者に率いられ、約8年の期間で年商2000億円を誇るメガブランドに成長しました。
その成長の裏側を知るために2日目の11月9日、我々dofメンバーは上海市街地にある元気森林の本社を訪れ、元気森林のみなさんにお話を伺いました。

元気森林の成長の最大の要因のひとつは“若者による若者のための製品開発”にあるとのこと。20代中心の元気森林メンバーが中国の若者のインサイトを徹底的に分析し、その嗜好にあわせた製品開発を行っているのが元気森林の特徴。そうした製品開発によって生まれたのが、元気森林の看板商品とも言える無糖・脂質ゼロ・カロリーゼロの微炭酸飲料「気」です。「気」はとうもろこしを原料とした甘味料を使用することで、砂糖を使うことなく自然な甘さを実現し、健康とおいしさを求める中国の若者の間で大流行となりました。その他にも元気森林ではフルーツフレーバーのスパークリングウォーターやコーヒー飲料など、若者のインサイト発で様々な商品開発が行われています。

さらに、元気森林でCMOを務めるUkiさんは元気森林のマーケティングについてもこう語ります。「中国では日本と違いテレビはお年寄りが観るもので、テレビCMは効きづらいのです。テレビへの出稿は年末などの視聴率が高い時期に絞り、強制視聴メディアとしてエレベーター広告を活用し、ほかも若者に人気のVODコンテンツへのスポンサード、SNSマーケティングを組み合わせてターゲットへのリーチを図っています」

また若者の心を捉えた商品開発とマーケティングの両輪で、中国市場を席巻する元気森林誕生の背景には、日本へのリスペクトがあったといいます。日本の市場や商品のトレンドを観察し、その良い点を中国の市場へと適応させた元気森林。その目線の先にはグローバルへの展開が広がります。既にアジアを中心とするグローバル展開を進めており、今後は世界中で元気森林の商品を目にすることが当たり前になるかもしれません。
さらに元気森林が行っているマーケティングは、日本の未来のマーケティングスタンダードを予感させます。テレビが効かなくなった未来で、果たしてどう代替のメディアを開発・活用していくのか?そうした問いに対する一つの答えを中国企業は持っている気がします。元気森林が日本のカルチャーから学びを得て新商品を開発したように、我々も彼らが行っていることを日本の未来と捉えて学ぶべき点は非常に多いと感じました。
