これがdof流!
CESの歩き方 2026 [前編]

世界最大のエレクトロニクス&テクノロジーの見本市:CESが、今年もラスベガスで開催されました!実はdofでは、「文化と価値の創造」のための貴重なインプットの場として毎年このCESを視察しています。今年は、代表の齋藤太郎、石井岳、宇佐見彰太、佐々木すぐるの4名が参加。【dof流 CES視察トリップ】を経て、それぞれのメンバーが何を感じ、学んだのか。CES前後のアクティビティやラスベガスエンタメ体験の紹介とあわせて、どふぞご覧ください!まずは前編として、メンバーが見てきたCESの景色をお送りします。
スケールに圧倒された、初のCES、
初のアメリカ本土、初のdof Trip。
dofのプロデューサーの佐々木すぐると申します。
前職でJapanMobilityShowのブースプロデュースの担当をさせて頂いていた事もあり、CESはいつか行ってみたかった見本市の1つでした。また、そもそもアメリカ本土が初上陸、dof Tripも初参加。噂には聞いていましたが本当に膨大な情報量で、何ヶ月も滞在したような、濃厚で学びの多い旅だったと実感しています。前編では、世界一のテクノロジー見本市であるCESと、日本一のテクノロジーの見本市と言われているJMSとを見比べた視点での感想をご紹介します!

なんと言ってもCESは一般公開の会期が約4日間(JMSは約10日間)という短さなのに、会場の広さはJMSが開催されている東京ビッグサイト約2個分(東京ドームで言うと5個分)という広さ。しかも、JMSは東京ビッグサイトの単一会場のみですが、CESはLVCC(ラスベガスコンペンションセンター)、Venetian Expo、C Spaceに加え、今年から新設されたFontainebleau Las VegasでのCES Foundryなど、ラスベガス市内に複数の会場が点在するという広大な会場設計となっています。会期の4日間全日程使っても1人で回り切るのは難しい、恐ろしく情報密度の高いイベントでした。
各ブースの演出面では、大々的にビジュアルにこだわったブースを展開する企業に加え、ブース演出自体はシンプルながらも、実際に動く製品が実演をしながら専門的な説明も展開する企業も多く、展示面でも「フィジカル」を意識した企業ばかりでした。CESの来場者は企業経営者や他社エンジニア、投資家、グローバルメディアが中心。だからこそ、その企業の現在や近未来のプロダクトにフィーチャーし、実際のビジネスに繋げる展示動線・仕掛けには、しっかりとターゲットを絞った表現があると感じました。

デジタル上で「生成」されるAIから、
フィジカルで「行動」するAIへの変革。

今年のCESで、特に印象的だったのが「AI」。
ただただ「AIの進化がすごい」ということではなく、多くの製品に組み込まれ「実体を持つロボット」として、モビリティ、ロボティクス、ヘルス・ウェルネス、ウェアラブル、家電・スマートホーム、ゲーミングなどの様々なジャンルの製品に当たり前のように実装されている中で、じゃあAIを実装したその先に、未来の生活者は何を求めるのか?という問いを各企業が模索している、そんな印象でした。
さらに、目立っていたのは中国企業の存在感。LVCCでは展示スペースの大半が振り返ると中国系の企業だったのでは、というくらい、中国企業が多く参加していました。
DREAMEは中国発のスマート家電メーカーで、自宅丸ごとスマート化するAI搭載の統合スマートシステムの発表を軸に、スマートクリーニング、キッチン、パーソナルケア、ガーデニングなどより、「生活、家電」にフォーカスした印象。特に目を引いたのは、「Cyber 10 Ultra」というロボット掃除機で、専用のアームがついていて、おもちゃやスリッパなどの障害物を除けるだけでなく、アーム専用のツールボックスがドックに設計されており、このツールボックスから掃除機のノズルやブラシヘッドなどの様々な掃除用アクセサリを自動的に交換できるなどの次世代すぎるロボット掃除機でした。

Hisenseは中国の高画質かつ高コスパのTVモニターが有名な総合家電メーカーですが、miniLED、MicroLEDなどの通常のLEDの課題であるピッチの荒さを解消する先進的なディスプレイに加え、洗濯機、冷蔵庫、空調、調理器具などにもAIを搭載し、AIエージェントに紐づけられたスマートホーム技術を提案していました。例えば洗濯機。単に衣類を洗う機械ではなく、生活リズムや汚れのレベルなどを認識して、最適な洗濯サイクルの提案やメニューの提案などをしてくれるという製品で、イノベーションアワード(※)を受賞しています。
韓国のサムスンの冷蔵庫には、新たにGoogleの「Gemini」が搭載されていて、庫内に何が入っているかを自動で把握し、庫内の食材で作れる最適なレシピや不足している食材の提案などをしてくれるというよりユーザーの生活に寄り添ったコンセプトの製品となっていました。
スタートアップの天下一武道会、Eureka Park

続いて、「世界一のスタートアップの見本市」、Eureka Parkを紹介します。世界中から12,000社を超えるスタートアップが、最新技術やプロトタイプ、新製品を集約させるエネルギッシュな現場。展示ジャンルとしてはヘルス・ウェルネスケア、AI、ロボティクス、家電・スマートホームなどが特に多い印象で、国別にパビリオンが集まっているのも特徴です。
中でも特に気になった製品の展示を3つほどご紹介いたします。いずれも、イノベーションアワード(※)を獲得している製品です。
※Innovation Awards(イノベーションアワード)とは
CESに出展される製品の中から、特に優れたデザイン、革新性を持つ製品やサービスに贈られる表彰。

1つ目は、Widemount Dynamics Tech (中国)のスマート消防ロボットです。火災現場で自律的に火炎・煙を探知し最適な消火剤を自動で選択するなど、AIが搭載された防災ロボットで、安全性と効率が求められる産業・インフラ領域で高評価を得ています。
2つ目はmand.ro(マンドロ) (韓国)の義手です。従来の義手は、手首の関節機能がなかったり、人体構造と親和性が低く、使いやすさと快適性の制限があるものが多い中で、本製品はそれらをクリアするテクノロジーで開発しているだけでなく、これまで最低でも200万以上していた製品を、約55万という低コストで開発している点に韓国スタートアップの凄みを感じます。
最後にOhsung System Co., Ltd. (韓国)の3Dプリンターです。こちらは通常の3Dプリンターではなく、金属を生成できる3Dプリンターです。ペースト状になった金属を押し出すことで、物体をプリントできる技術を採用しているということで、高温での危険性や爆発のリスクなどを排除しながらも、3Dプリントならではの精密なプリントが可能で、高精度な部品の生成などが期待できるとのことで、驚異的な技術だと感じました。
移動は”手段”ではなく”目的!?”
モビリティテクノロジーの進化実装が広がるCES2026
レポーター代わりまして、dofプロデューサーの石井岳です。
今回、はじめて世界最大級のテックイベント「CES」に参加してきました。前職ではモビリティ関連のクライアントを担当しており、現在もdofでタクシーアプリ「GO」のプロジェクトを担当しています。そんな背景もあって、「モビリティの未来」にはずっとワクワクしながらアンテナを張ってきました。今回の旅では、CESで目の当たりにしたテクノロジーの“進化”と、キャンピングカーでの移動生活を通して体感した人間らしい“原点”―そのコントラストについて、感じたことをレポートしたいと思います。


トヨタがCEDでコンセプトカー「e-Palette」を発表したのが2018年。「自動運転の箱型モビリティが街中を走る時代が来るのか…いつになるんだろう?」そんなことを思っていた、当時27歳の私。そして35歳になった今、その未来は、確かにCES2026の会場にありました。
モビリティブースの印象は、“未来のビジョン”ではなく、“すでに始まっている現実”そのもの。Amazon傘下のZOOXは、ラスベガスの街を悠々と走行。オランダのHERE、韓国のHYUNDAI、Google傘下のWaymoなど、各社が“細部のつくり込み”で現実感を競っていました。自分の部屋が、まるごと移動する。自分のワークデスクが、街を走りながら目的地へ向かう。そんな現実が、CES2026ではもう「当たり前」のように広がっていました。
もはや移動は、完全に“自由な時間”になっていたのです。仕事も趣味も、友達とのおしゃべりも、家とクルマがつながり、ネットワーク管理で時間も正確。なんだってできちゃう。寝てる間に移動する。起きたら職場。「移動のために何かを我慢する」のではなく、「移動時間こそ、何かを楽しむ時間に“目的セット”する」。そんな新しいモビリティの時代が、目の前に来ていました。
便利な機能は十分!?
生きるために不可欠な農業モビリティ達のヒーロー感

残念ながらTOYOTAは出展していませんでしたが、今年もSONYのアフィーラは存在感を放っていました。BMWも大規模な広告展開に加え、乗車体験ブースを構えるなど、かなり力を入れている印象でした。ただ、正直なところ感動は少し薄かったかもしれません。自動運転については、Waymoの実装によってすでに多くの人が体験しており、根本的な進化は感じにくかったのが正直なところです。
AI搭載車という点も、2023年のアフィーラ発表時にすでに驚きを体験していたため、新鮮さは控えめ。もちろん、AI搭載による車とスマートホームの連携は効率的で魅力的ですし、サウンドや映像のクオリティも確実に進化しています。ただ全体としては、「驚き」よりも“実装と細部の磨き込み”が中心、という印象でした。

一方、モビリティブースで存在感を発揮していたのは、農業用モビリティです。巨大な農業用モビリティは、ヒーロー感のある存在として、思わずワクワクする展示が目立っていました。”食”は必要不可欠な領域、ビジネスチャンスもたくさんある中で、巨大な農業用モビリティの存在感は光っておりました。テクノロジーが進化しても、人間が生きていくうえで必要な「食べ物」は有限です。だからこそ、人口が減っても、過酷な天候や地形のエリアでも活躍できる農業用モビリティの存在は、まさに希望の象徴でした。効率的かつ力強く開拓し、資源を生み出してくれるその姿は、「食」という不可欠な領域でのビジネスチャンスを感じさせるものでした。
人間の“拡張”が完成した世界。
その先に見えた、小さな問い。
モビリティブースだけでなく、他のブースも含めて、僕が全体を通して感じたのは「人間機能の拡張」でした。すべての機能を司る「脳」はAIが拡張し、手はロボットが、目はスマートグラスが、耳はハイテクイヤホンが担う。大資本企業は、それらの機能拡張をIoTで一気に繋ぎ、人間が脳を中心に手足・目・耳・鼻を動かして生きる「能力の幅」や「生活の幅」を、大きく広げているように感じました。
同時に、僕の中でひとつの問いが浮かびました「機能の拡張が進む人間の未来において、人は何を大切にして生きるのか?」というものです。人生100年時代と言われる中で、生産性は上がり、できることは確実に増えていくでしょう。でも、機能性や生産性を追い求め続けることが、人間の幸せそのものかというと、少し違う気がしました。図らずも、dofトリップの後半でテクノロジーから離れた時間と空間を過ごしたことで、その問いに対する小さな「答えのようなもの」が、少し見えた気がしました。後編では、その話をしたいと思います。

2年前とどう変わった?
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続いて、CES2026のエンタープライズ向けテクノロジーや、スマートホーム、デジタルヘルスといった領域について、宇佐見よりレポートします!
ぼくにとっては2024年に続いて2回目のCES。2年前は、会場の外壁に「AI FOR ALL」というSamsungのコピーがデカデカと刻まれていました。そしてこの2年間で、「何かあったらググる」から「何かあったらジピる(ChatGPTに相談する)」へ。生成AIをはじめ、ぼく自身の生活の中にも確かにAIが浸透してきました。

▲ 2年前のCESの大広告看板「AI for All」
でも、一般庶民として暮らしていて見える範囲、というところでは、あくまでもぼくたちのPCやスマホの中に浸透してきた、という印象です。
一方で、今回のCESで注目されていたのは、各所でも報じられているとおり「Physical AI」。つまり、PCやスマホの内部にとどまらず、物理世界ではたらくAIのこと。そのわかりやすい例がヒューマノイド(ヒト型ロボット)や5本指のロボットハンドといったAIの試行結果を物理的にアウトプットするモノたちです。

今回の出展の中では、ヒト型ロボットやロボットハンドが物を仕分けたり、運んだり、さらには人間とピンポンで対戦したり、人間にドロップキックしたり…。何気なく歩いていて、ヒューマノイドとすれ違う、という経験も初めてでした。近未来感…!
ちなみに、ヒューマノイドを出展していた企業は半数以上が中国の会社という中、ヒューマノイドのお値段も、クルマくらいの水準になってきたということです。AIが手足を持って、現実の物理世界に関わってくる未来の到来を、確かに予感させられます。
近い将来、ドラえもんがやって来る......予感!

家庭用IoT(Internet of Things)ツールやスマートホームといった分野では、あらゆる製品がインターネットにつながって制御されるのはもはや当たり前になってきた中、2年前のCES以上にヘルスケアテックやエイジテックといった領域のデバイスの存在感が強まっていました。これらのデバイスは、生活者の身体の状態や習慣、行動データなどを収集します。
そして、それらのデータをもとに仕事や家事、健康習慣など、人の暮らしを介助してくれるAIエージェント。
暮らしの中の課題の特定と分析、対応方針の策定、そしてロボティクスによる物理世界も含めてのソリューション提供…。これらが一本の線になると、見えてくるもの。そうです、ドラえもんのいる世界です。ぼくらの家庭に職場に町内に、ドラえもんのような存在が現れる日もそう遠くないのかもしれません。
そして改めて、自分らしい目的設計をすることの大切さに気付かされます。上で書いたような話も、たとえば「健康でありたい」とか、「仕事のパフォーマンスを(いつまでに・こういう風に)高めたい」といった目的設計があって初めて、「自分らしい人生」をアシストしてくれる存在になる。後編でお話しする「CES以外」のdof旅では、まさにそのことを痛感することになるのです…!
