dof inc. | dof talk | もっと、みんなのタクシーアプリへ。 GOの企業広告が誕生するまで。 
2026.07.24

もっと、みんなのタクシーアプリへ。
GOの企業広告が誕生するまで。

2020年、「移動で人を幸せに。」というミッションを掲げてサービスを開始したタクシーアプリ『GO』を運営するGO株式会社。dofは、そのサービス開始前から広告表現を起点に、ビジネス全体に伴走してきました。

そして、『GO』アプリは2025年、全国47都道府県へのサービス展開を果たし、2026年1月3日に日本経済新聞へ企業広告が掲載されました。

これまで関わってきた全ての方々への感謝を忘れず、そしてこれからも、移動を通じて人と人をつなぎ、人々の日常に寄り添う社会インフラでありたい。こうした想いを、今回の企業広告にどのように落とし込んだのか。

GO株式会社執行役員 眞井卓弥さん、CC INC. 共同創業者兼CEO/アートディレクター 戸田宏一郎さん、五島列島なかむらただし社コピーライターの中村直史さんをお招きし、 dof 代表取締役/クリエイティブディレクター 齋藤太郎と、執行役員/コミュニケーションデザイナー 野崎愉宇と共に、その誕生秘話に迫ります。

GOは、社会の公器になっていく

ー聞き手
今回、GOが企業広告を出稿することになった経緯を教えてください。

ー眞井さん
2025年9月に島根県でサービスを開始することになり、全国47都道府県で『GO』が使えるようになりました。より多くの人にサービスを使っていただけるようになり、社会の公器としての責任が増す中で、これまでの歩みを支えてくださった皆さまに「感謝を伝えたい」という想いから、企業広告についての議論がはじまりました。

ー野崎
それが2025年の9月頃でしたね。

ー齋藤
GOの仕事で難しいのは、多様なステークホルダーがいる中で「誰に伝えるか」というところです。今回「感謝を伝える」と考えたときに、まずは全国のタクシー事業者の方々への感謝。『GO』アプリが47都道府県に導入が広がったのは、その人たちの協力あってのことに他なりません。でも、新聞広告というものは、一般のユーザーの方も含めた全国津々浦々の方々に届く媒体です。だからこそ、一部の人に向けられたメッセージにとどまってしまうのはもったいないと思いました。

ー聞き手
媒体として新聞広告がいいのではないか、となったのはなぜだったのでしょうか?

ー齋藤
新聞広告というのは、「企業として、キチンと意思表示ができるメディア」です。その「公性(おおやけせい)」が大事だと思っています。『GO』というサービスが立ち上がったときから、『GO』はみんなに当たり前に使ってもらう「公共交通」であり、社会の公器になっていく存在であるべき。それを「山手線のような存在になろう!」というビジョンとして伝えたりもしていました。だからこそ、47都道府県に広がる公のインフラとして、全国のお客様やタクシー事業者の方々、みんなに向けて感謝を表明することが大事だと考えました。

ー眞井さん
GO社内でも、今回のプロジェクトを「はじめてのコーポレートブランディング」と捉えていました。前例がないですし、費用対効果の観点でも難しい。悩ましかったのが正直なところですが、dofさんと議論をする中でだんだんと方向性が固まっていきました。

ー野崎
感謝を伝えるのはもちろん、『GO』というのは公性が高いサービス。新たな公共交通といってもいいと思います。そうした『GO』の価値を読者の方に好意的に感じていただき、世の中と手を取る機会にしていきたい。そういった考え方でクリエイティブについてのディスカッションを進めていきましたね

“みんなへの感謝”を、どう表現するか

ー聞き手
戸田さん、中村さんは、今回の企業広告のお話を受けてどのように感じましたか?

ー戸田さん
『GO』というサービスには社会性があるからこそ、元来「新聞広告が向いている」サービスだと思っていました。「やっとやれるのか!」ということが率直な感想でした。
初期段階で、中島さん(GO株式会社 代表取締役社長)から「エモーショナルにメッセージを届けたい」という話が出てきたのは意外とも感じましたが、数字を追いかけるだけじゃない、そういった目的意識が共有できたからこそやりやすかったですね。

ー中村さん
僕は当初、「感謝を伝える広告」としたときに、誰に対する感謝を伝えるのか、というところがすごく難しいなと感じていました。そんな中、とある会議で「誰に対する感謝なんですか?」と尋ねたときに、中島さんが「みんななんだよな」と確かめるように3回繰り返したのがすごく印象に残っていて。そこから、「みんな」に向けてどう感情を伝えていくか、ということをひたすら考えていました。

ー齋藤
中村さんは「優しいイノベーション」、つまり古きを破壊するイノベーションではなくて、ニューとオールドが共存して、融合するイノベーションなんじゃないのか、という話もしていましたね。

ー中村さん
中島さんが「みんなに感謝したい」ということを強調されていたのは、つまるところ「古い人たちにはいなくなってもらって、新しい未来に行こうよ」ではなくて、「全員で一緒に、新しい未来に行きましょう」という話なのだと思い至りました。その「優しいイノベーション」こそが、GOの「GOらしさ」であって、テック色が強い競合とは違う部分なのだと思います。世の中の人たちに、そこを理屈でわかってもらうには時間がかかるけれど、今回の企業広告では、少なくともそうした感情、佇まいを感じてほしいと思いました。

静止画の中に、物語をつくる

ー聞き手
クリエイティブは、どのように形になっていったのでしょうか。

ー野崎
“みんなの日常の中に『GO』がある”ということを描いていくために、中村さんにとある『GO』を使う生活者のストーリーを書いていただきましたね。実家へ里帰りする娘さんと孫と、二人を待ちわびるおじいちゃん、おばあちゃんの物語で。それが素晴らしくエモくて。戸田さんがそのストーリーを受けて、手描きカンプで世界観をかたちにしていき、まるで映画の中の1シーンを切り取っていくような制作プロセスでした。

▲ 制作時に作成した生活者のストーリー

▲ 手描きカンプ

ー中村さん
今回のテーマは「47都道府県津々浦々」の話でしたけど、僕は五島列島という、まさしく津々浦々に住んでいるので、ストーリーは書きやすかったですね。実際にそこに住んでいる人たちのことを思い浮かべながら筆を進めました。

ー眞井さん
最初は、単純に静止画のグラフィックをつくるプロジェクトだと思っていましたが、制作が進むにつれて、静止画の中にもストーリーが存在することに気付かされ、「これは単なる静止画を作る作業とは全く違うぞ・・・」と感じるようになりました。

ー齋藤
今回はかなりアナログな作り方で、企画の中でも定性的で感覚的な話をかなりしましたね。「こういうのなんだよ」みたいな話をしながら、人によって少しずつ異なる「感じ方」を合わせていく。そこに難しさもあり、面白さもありました。

ー戸田さん
確かに最初に描いた坂道の絵が、みんなが共有するイメージの核になった面もありました。ただ、その絵に固執して「あれがいいんだよ」で止まらずに、より良い表現に進めたのは本当に素晴らしいプロセスでした。そこは全員の良い関係性があったからこそできたことだと思います。

ー眞井さん
前例がない中で、ひとつひとつの要素を足すのか、落とすのか。何を大事にするのか。dofチームのみなさんとは毎日のように議論しましたが、それを楽しいと感じながら乗り切れたのは、戸田さんがおっしゃる通り、これまで築き上げてきた関係性あってのことだと感じています。

ー野崎
ロケ地の選定についても、本当にたくさん議論を重ねましたね。

ー戸田さん
当初、その街で連綿と続いてきた人の営み、文化や歴史を感じられる場所にしたいという話があって、京都や金沢といった候補地が出てきました。でも議論が進むにつれて、街のイメージが先行してしまう場所ではなく、その街の日常に自然に『GO』とタクシーが寄り添っていることを表現したいということで絞っていって、最終的に愛媛の南宇和が選ばれました。

「みんなの心にある風景」をつくる

ー聞き手
実際にロケ地に着いてからは、いかがでしたでしょうか。

ー野崎
遠かったですよね。(笑)

ー戸田さん
遠かった。松山からさらに2時間半くらい。陸の孤島みたいな場所でしたけど、まさにラフを描きながら思い描いたような、理想の場所でした。

ー眞井さん
現場ではひたすら、制作チームの撮影力の高さを感じていました。動きがないはずの写真というフォーマットに対して、こうやってストーリーを感じられるような作り方をしていくのだなと。

ー野崎
戸田さんは撮影中、どのようなことを意識されていましたか。

ー戸田さん
誰もが頭の中でイメージできる、「みんなの心のどこかにある風景」をつくることを、大切にしていました。『GO』ラッピングのタクシーが日常の景色の中にあるけれど、存在もしっかり分かる。大きすぎるとカタログになるし「広告」になる。でも逆に、小さすぎると伝わらない。そのバランスを探っていましたね。その最後の落とし所を、かなり繊細に見ていたと思います。

ー野崎
そうしてできた写真から、中村さんがコピーのイメージを膨らませてくださいましたね。

ー中村さん
コピーを書くときは、『ラブ・アクチュアリー』という映画の冒頭のシーンを少し意識していました。登場人物は誰も出てこず、イギリスのヒースロー空港で、到着した人と待ち受ける人が出会うシーンが、しばらくの間続くんです。その出会えた喜びが自然に伝わって、物語が今にも動き出しそうなのがとても素敵で。このコピーを読んだ人にも、移動の先にある感情が伝わるといいなと思っていました。

ー野崎
素敵ですね。中村さんが考えてくださったコピーを、どんなレイアウトに落とし込むのか。ここも戸田さん中心に議論が本当に白熱しましたね。

ー戸田さん
企画が通った段階の、元々のラフの構成のまま作り上げることは簡単な中で、GOの皆さんも含めてチーム全体でより良いものにしようと「粘れた」ことは、良い広告を作る上で非常に大事なことだったと思います。GOのブランドの新しい見せ方にみんなで挑めたことが本当によかったです。

新たな存在感を纏って。これからのGOが向かう場所

ー聞き手
今回の広告に対して、GOの社内ではどのような声が上がっていましたか?

ー眞井さん
戸田さんがおっしゃった通り、GOとして新しい方向性だったので、「こういうGOの伝え方があったのか!」と驚く声がとても多かったです。GOの普段のクリエイティブは「どうする?GOする」シリーズを中心に、その利便性を第一に訴求し、コミカルにわかりやすく伝える、という軸があります。だからこそ今回のような「温かみ」を纏った表現は新鮮でしたね。SNSやお問い合わせフォームにもそういった声をいただいたことは本当に嬉しかったです。

ー中村さん
お客様から届いた声に、「『GO』のロゴが光って見えた」というものがあって、とても嬉しかったなと。映り方がこのくらいの大きさだとしても、というか、主張しすぎなかったからこそ、GOが届ける感情を伝えられたのだと感じています。

ー野崎
素敵ですね。これからGOが社会により広く浸透していく中で、この広告はそのイメージの転換の第一歩となっていく存在だと捉えています。この企業広告を機に、まさに「みんな」に素敵だなと思ってもらえる、気持ちが動くなって思ってもらえる、そういうGOになっていけるといいなと思ってます。皆さんは、今後のGOにどのようなことを期待されていますか。

ー戸田さん
GOのコミュニケーションを長く続けてきて、普段『GO』を利用していても、乗務員の皆さんが「『GO』を載せたタクシーを運転しているんだ」というプライドを持って、キラキラと働かれているなと感じる瞬間が確かに増えていると感じています。今回の表現も含めて、これからもそうした連鎖が繋がっていくと、すごく面白いことが起こるんじゃないかと思っています。

ー中村さん
冒頭でもお話したように、GOのみんなと一緒に進んでいく「優しいイノベーション」は、非常に日本らしいなと感じています。イノベーションという言葉自体が西洋の概念で、ディスラプションを伴うものと認識されがちですよね。でもGOはそうじゃない。今回の広告で、GOが日本らしく、社会と調和しながら世の中を前に進めるブランドであることが伝わっていったら嬉しいです。

ー齋藤
サービス開始からこのタクシーアプリの仕事に関わらせていただいてきたので、やはり特別な思いがありますね。中村さんがおっしゃったことに近いですが、僕はGOを、世の中を緩やかに、でも確実に便利に変えてきた存在だと捉えています。そして、繰り返しになりますが「社会の公器」になっていく上で、当然それに伴い責任も大きくなっていく。GOにはそうあってほしいし、僕自身もそのためにできることをしていきたいと、改めて強く思います。

ー眞井さん
今回の企業広告は、GOに関わっていただいた皆さんへの感謝をお伝えするとともに、我々のミッションである「移動で人を幸せに。」の「幸せに。」の部分に、いよいよ一歩踏み出せたコミュニケーションだったのではないかと思っています。我々がとても大切にしているこの言葉に立ち返る素晴らしい機会でしたし、dofさん、戸田さん、中村さん、そして関わってくださった皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです。