2025.07.07

高崎卓馬が語る、大島征夫。

高崎卓馬が語る、大島征夫。

昨年7月7日に亡くなった、dof会長/クリエイティブ・ディレクターの大島征夫。それから一年が経ちました。大島と縁の深いみなさまからお話を伺ってきたMemorial dof talkも、今回がいよいよ最終回となります。その最後のゲストは、高崎卓馬さん。JR東日本の「SUICA」や「行くぜ、東北。」「MY FIRST AOMORI」、サントリー「山崎」「知多」など数々の仕事を大島と共にし、大島がその仕事を愛してやまなかった高崎さんからどんな言葉が語られるのか。どふぞ、ウイスキー片手にごゆっくり、ご覧ください。

昨年7月7日に亡くなった、dof会長/クリエイティブ・ディレクターの大島征夫。それから一年が経ちました。大島と縁の深いみなさまからお話を伺ってきたMemorial dof talkも、今回がいよいよ最終回となります。その最後のゲストは、高崎卓馬さん。JR東日本の「SUICA」や「行くぜ、東北。」「MY FIRST AOMORI」、サントリー「山崎」「知多」など数々の仕事を大島と共にし、大島がその仕事を愛してやまなかった高崎さんからどんな言葉が語られるのか。どふぞ、ウイスキー片手にごゆっくり、ご覧ください。

参加メンバー

参加メンバー

言葉にしたくなかった、本当は。

言葉にしたくなかった、本当は。

ー 本日は4月に電通から独立され、「WRITING & DESIGN」を立ち上げた高崎卓馬さんにお越しいただきました。

ー 齋藤
お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。

ー 高崎さん
よろしくお願いします。

ー 早速、大島さんとの思い出に残っているエピソードをお聞かせいただけたらと思うのですが…。

ー 高崎さん
それがなかなか難しくて。他人と共有するために言葉にしちゃうと、それ以外のことが抜けていく感じがするんです。一緒にいた時間って情報じゃないし、とうてい複製不可能なものだから。あの「生」の状態の記憶を自分のなかで大事にしておくといつでも会える感覚になるから。その感覚を言葉にすると失いそうで。だからあんまりここでこうして話すのも最初は気乗りしませんでした。まあでも、大島さんが来いって言ってるから来た。そんな感じで。

ー 本日は4月に電通から独立され、「WRITING & DESIGN」を立ち上げた高崎卓馬さんにお越しいただきました。

ー 齋藤
お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。

ー 高崎さん
よろしくお願いします。

ー 早速、大島さんとの思い出に残っているエピソードをお聞かせいただけたらと思うのですが…。

ー 高崎さん
それがなかなか難しくて。他人と共有するために言葉にしちゃうと、それ以外のことが抜けていく感じがするんです。一緒にいた時間って情報じゃないし、とうてい複製不可能なものだから。あの「生」の状態の記憶を自分のなかで大事にしておくといつでも会える感覚になるから。その感覚を言葉にすると失いそうで。だからあんまりここでこうして話すのも最初は気乗りしませんでした。まあでも、大島さんが来いって言ってるから来た。そんな感じで。

ー 齋藤
その気持ちわかります。きっとそのへんで飲みながら、ぼくらのことも見守ってくれていると思います。

ー 高崎さん
僕たちは大島さんに出会ってしまったから。もう2度と“変なものをつくれない”っていう焼きゴテを当てられちゃったようなものだと思う。見守ってもらってるし、見られているし。いいものつくるとどこかで喜んで「あのコピーのおかげで酒がうまくなった」って言ってる。

ー 齋藤
焼きゴテ(笑)。確かにそうかもしれません。
なにか困ったことがあったら自分の中にいる大島さんに相談したり、仕事を終えたら報告をしたりしちゃいますね。

ー 高崎さん
大島さんにはやっぱり報告したくなる。それはたぶん、結果はもちろんだけど、どんな覚悟でつくったかを見てくれるからだと思う。その覚悟の部分を絶対に大事にしてくれるから「そのわりに出来てないな」とか「事情に負けたな」とかそういうジャッジをニコニコしながらしてくれる。表面だけみてとか、賞とかそういうことじゃなく、やっぱり「何をしたかったのか」という部分を絶対に共有できる。簡単に言うと広告には、クライアントや僕たちの生き方が絶対に出ちゃう。そのことをしっかり見てくれている。嘘つきには嘘っぽいものしかつくれないし、自己愛しかないひとは愛されるものはつくれない。ロマンチックな幻想かもしれないけれど、いいじゃん、そういう信念もってやってるほうが楽しいし、「酒がうまい」しって。そこがいつ話しに行ってもブレないのは本当にうれしい。どんな悪天候でも沖にいる僕らを照らしてくれる灯台みたいな感じで。

ー 齋藤
その気持ちわかります。きっとそのへんで飲みながら、ぼくらのことも見守ってくれていると思います。

ー 高崎さん
僕たちは大島さんに出会ってしまったから。もう2度と“変なものをつくれない”っていう焼きゴテを当てられちゃったようなものだと思う。見守ってもらってるし、見られているし。いいものつくるとどこかで喜んで「あのコピーのおかげで酒がうまくなった」って言ってる。

ー 齋藤
焼きゴテ(笑)。確かにそうかもしれません。
なにか困ったことがあったら自分の中にいる大島さんに相談したり、仕事を終えたら報告をしたりしちゃいますね。

ー 高崎さん
大島さんにはやっぱり報告したくなる。それはたぶん、結果はもちろんだけど、どんな覚悟でつくったかを見てくれるからだと思う。その覚悟の部分を絶対に大事にしてくれるから「そのわりに出来てないな」とか「事情に負けたな」とかそういうジャッジをニコニコしながらしてくれる。表面だけみてとか、賞とかそういうことじゃなく、やっぱり「何をしたかったのか」という部分を絶対に共有できる。簡単に言うと広告には、クライアントや僕たちの生き方が絶対に出ちゃう。そのことをしっかり見てくれている。嘘つきには嘘っぽいものしかつくれないし、自己愛しかないひとは愛されるものはつくれない。ロマンチックな幻想かもしれないけれど、いいじゃん、そういう信念もってやってるほうが楽しいし、「酒がうまい」しって。そこがいつ話しに行ってもブレないのは本当にうれしい。どんな悪天候でも沖にいる僕らを照らしてくれる灯台みたいな感じで。

世界を信じる力。
たった一言で射貫く力。

世界を信じる力。
たった一言で射貫く力。

ー 齋藤
大島さんは、表現へのこだわりもさることながら、「商品が売れるか?」ということにも強く意識が向いている人でしたよね。だからこそクライアントにも愛されていました。

ー 高崎さん
両方とも信じていたと思う。面白いと売れるは両立できるし、しなきゃいけないって。この業界どちらかに偏りがちで、どちらもどちらかを否定的にみながら自分の仕事の正当性とか哲学みたいなものを守っている気がするけど、どっちも絶対に大事だと思う。大島さんはそれを高次元で実現させることに夢中だった。ドンキホーテみたいだけど、僕はああ、こういう人がいてくれるんだ、ロマンチックな夢想家でいいんだ、って安心させてもらってた。

ー 齋藤
ぼくも、大島さんのそういうところに洗礼を受けた一人です。

ー 高崎さん
「広告は、人のお金を使って、その人が何かを成し遂げたい気持ちを体現してあげる装置なんだから、そこから逃げるな」って。「売れることと、みんながいいと思う、心が揺れるものっていうのは絶対どこかで一致するから」って。大島さんはそう信じているように見えた。信じていたんだろうね、世界を。広告に触れる人すべてを信じていて、だからみんなを一言で射貫く力があった。

ー 齋藤
大島さんは、表現へのこだわりもさることながら、「商品が売れるか?」ということにも強く意識が向いている人でしたよね。だからこそクライアントにも愛されていました。

ー 高崎さん
両方とも信じていたと思う。面白いと売れるは両立できるし、しなきゃいけないって。この業界どちらかに偏りがちで、どちらもどちらかを否定的にみながら自分の仕事の正当性とか哲学みたいなものを守っている気がするけど、どっちも絶対に大事だと思う。大島さんはそれを高次元で実現させることに夢中だった。ドンキホーテみたいだけど、僕はああ、こういう人がいてくれるんだ、ロマンチックな夢想家でいいんだ、って安心させてもらってた。

ー 齋藤
ぼくも、大島さんのそういうところに洗礼を受けた一人です。

ー 高崎さん
広告は、人のお金を使って、その人が何かを成し遂げたい気持ちを体現してあげる装置なんだから、そこから逃げるな」って。「売れることと、みんながいいと思う、心が揺れるものっていうのは絶対どこかで一致するから」って。大島さんはそう信じているように見えた。信じていたんだろうね、世界を。広告に触れる人すべてを信じていて、だからみんなを一言で射貫く力があった。

▲ 高崎さんと大島が手がけたJR東日本のキャンペーンの一つ「MY FIRST AOMORI」

ー そういった大島さんの力を感じたきっかけはなんでしたか?

ー 高崎さん
『Suica』の仕事かなぁ。まだチームの端っこにいるくらいの頃で。オリエンの時のことが印象に残ってますね。シートには色んなことが書いてあったんですけど、その紙をひっくり返してたった一言「Suica=カッコイイ」って書いたんです。それだけ見るとわけわからないんだけど、そこには圧倒的な視点があった。「電子マネーはJR東日本やSuicaだけのものじゃなくて、これから社会のインフラになるだろう。そうするとたくさんの競合も出てくる。競合が出てきた時に、みんながSuicaとアライアンスを組みたいと思うような、憧れられる存在にするっていうのが広告の仕事なんだ」って。
それを聞いて、「これこそがクリエイティブ・ディレクションだな」と思った。そのときの衝撃は自分の広告のクリエイティブが何のためにあるのか、を明確に教えてくれた。消えない根性焼きみたいに胸に残ってます。火傷ばっかりさせられてるけど。

ー 齋藤
みんなを信じさせる力がありましたし。軍師的というか、戦が好きなところもありましたね。

ー 高崎さん
何をすればこの仕事は勝ちなのか。という目的の具体化が圧倒的だった。目的が妙にチャーミングで、みんながそれを聞くとワクワクしてしまう。

ー そういった大島さんの力を感じたきっかけはなんでしたか?

ー 高崎さん
『Suica』の仕事かなぁ。まだチームの端っこにいるくらいの頃で。オリエンの時のことが印象に残ってますね。シートには色んなことが書いてあったんですけど、その紙をひっくり返してたった一言「Suica=カッコイイ」って書いたんです。それだけ見るとわけわからないんだけど、そこには圧倒的な視点があった。「電子マネーはJR東日本やSuicaだけのものじゃなくて、これから社会のインフラになるだろう。そうするとたくさんの競合も出てくる。競合が出てきた時に、みんながSuicaとアライアンスを組みたいと思うような、憧れられる存在にするっていうのが広告の仕事なんだ」って。
それを聞いて、「これこそがクリエイティブ・ディレクションだな」と思った。そのときの衝撃は自分の広告のクリエイティブが何のためにあるのか、を明確に教えてくれた。消えない根性焼きみたいに胸に残ってます。火傷ばっかりさせられてるけど。

ー 齋藤
みんなを信じさせる力がありましたし。軍師的というか、戦が好きなところもありましたね。

ー 高崎さん
何をすればこの仕事は勝ちなのか。という目的の具体化が圧倒的だった。目的が妙にチャーミングで、みんながそれを聞くとワクワクしてしまう。

商品を幸せにする距離感。

商品を幸せにする距離感。

ー 齋藤
一方で、大島さんは愛着が強すぎる商品だと、俯瞰でモノを見る軍師ではいられなくなることもあったような気もします。サントリーのウイスキーの仕事とか。

ー 高崎さん
僕は逆だった。僕が「琥珀の世界」が好きすぎて。「お前の好きなものは、みんなの好きになりたいものとは違うぞ」って。俺はお前のことなんか全部お見通しだっていう感じでした。自分もそうだから余計わかるんでしょうね。泥棒が警察やってるみたいな感じで。

ー 齋藤
一方で、大島さんは愛着が強すぎる商品だと、俯瞰でモノを見る軍師ではいられなくなることもあったような気もします。サントリーのウイスキーの仕事とか。

ー 高崎さん
僕は逆だった。僕が「琥珀の世界」が好きすぎて。「お前の好きなものは、みんなの好きになりたいものとは違うぞ」って。俺はお前のことなんか全部お見通しだっていう感じでした。自分もそうだから余計わかるんでしょうね。泥棒が警察やってるみたいな感じで。

▲ 大島と高崎さんが手掛けたサントリー「山崎」の広告シリーズ。

ー 齋藤
覚えています、その打ち合わせ!内心、「大島さん、自分のことを棚に上げておいて良く言うよ」って思っていました(笑)自分と同じくウイスキー愛が強い高崎さんと仕事をすることになって、あの時はCDとして冷静な目線で判断をすることも同時に心がけていたんでしょうね。

ー 高崎さん
バランスはとても大事で、俯瞰して商品が幸せになるために必要なことは何か、それを今やるためにはどうすればいいか、そのことを考え抜かないといけない。大島さんの場合、それをかなり直感的にやってるようにみんな思ってるかもしれないけど、かなりロジカルでものすごく深く広く考えてるんですよね。伝え方が長嶋茂雄なだけで。でも、ここは話をしたことはないけれど、前提に愛があってそこの話をいちいちしなくても済む関係のなかでチームをつくって、そのチームで課題に立ち向かう、っていうのはチーム大島の大前提なんじゃないだろうか。きっとそう思っていたと思う。

ー 齋藤
覚えています、その打ち合わせ!内心、「大島さん、自分のことを棚に上げておいて良く言うよ」って思っていました(笑)自分と同じくウイスキー愛が強い高崎さんと仕事をすることになって、あの時はCDとして冷静な目線で判断をすることも同時に心がけていたんでしょうね。

ー 高崎さん
バランスはとても大事で、俯瞰して商品が幸せになるために必要なことは何か、それを今やるためにはどうすればいいか、そのことを考え抜かないといけない。大島さんの場合、それをかなり直感的にやってるようにみんな思ってるかもしれないけど、かなりロジカルでものすごく深く広く考えてるんですよね。伝え方が長嶋茂雄なだけで。でも、ここは話をしたことはないけれど、前提に愛があってそこの話をいちいちしなくても済む関係のなかでチームをつくって、そのチームで課題に立ち向かう、っていうのはチーム大島の大前提なんじゃないだろうか。きっとそう思っていたと思う。

「売れるな、飲みに行こう!」が、
 いちばん嬉しい。

「売れるな、飲みに行こう!」が、
 いちばん嬉しい。

ー 齋藤
高崎さんは大島さんに信頼されてたくさんのお仕事をご一緒されていましたね。

ー 高崎さん
自分がこの仕事でいまだに生き残れているのは、大島さんのやり方を割と早い時に学んだからっていうのもあると思う。大島さんに呼ばれるとやっぱりその時点でテンションがあがります。

ー 齋藤
ぼくから見ると、仕事のスタイルはだいぶ違う気もしますが。

ー 高崎さん
ものすごく似ていると思います。意外かもしれないけど。企画を見てもらう時とか、価値観の部分での安心感がすごくあるから会話がとてつもなく楽しいんです。できてないかもしれないけど、こういうことをやろうとしてるんだろ、って理解してもらってるから、先に行くんですよねやりとりが。それに毎回、話すSFのこととか、旅先のこととか、そういう話がめちゃんこ面白かった。絶対何か新しい好きになるものを教えてくれた。

ー 齋藤
高崎さんは大島さんに信頼されてたくさんのお仕事をご一緒されていましたね。

ー 高崎さん
自分がこの仕事でいまだに生き残れているのは、大島さんのやり方を割と早い時に学んだからっていうのもあると思う。大島さんに呼ばれるとやっぱりその時点でテンションがあがります。

ー 齋藤
ぼくから見ると、仕事のスタイルはだいぶ違う気もしますが。

ー 高崎さん
ものすごく似ていると思います。意外かもしれないけど。企画を見てもらう時とか、価値観の部分での安心感がすごくあるから会話がとてつもなく楽しいんです。できてないかもしれないけど、こういうことをやろうとしてるんだろ、って理解してもらってるから、先に行くんですよねやりとりが。それに毎回、話すSFのこととか、旅先のこととか、そういう話がめちゃんこ面白かった。絶対何か新しい好きになるものを教えてくれた。

▲ 高崎さんが手掛けたサントリーAoの広告。大島は、生前最後まで高崎さんとミーティングを行っていた。

ー 齋藤
確かに、二人が以心伝心で通じ合っているところはあったような気もします。

ー 高崎さん
大島さんって、思ったものがそのまま出てくるとあまり面白がらない。だから、企画を見せた時に「そうそう、オレが言いたかったのはこれなんだよ!」と言ってもらうと嬉しいし、どこかそれを目指せばいいっていうシンプルさが僕はとても好きでした。

ー 大島さんが亡くなる一週間前にも、高崎さんはサントリーウイスキー「Ao」のコピーを大島さんに見せていらっしゃいましたよね。

ー 高崎さん
昔みたいにたくさんのコピーを見せて。大島さんもすごい喜んでくれて。あんなに細くなってるのに、コピーを見て気に入ったのがでてくると「元気出るな!」とか言って。いい顔だった。「このコピーがあれば売れるな、飲もう!」って。本当に特別な夜だった。あの数時間で僕は、大きくて答えのない問題に、ひとつの答えを見た気がしました。かっこよかったんですとにかく。

ー 齋藤
確かに、二人が以心伝心で通じ合っているところはあったような気もします。

ー 高崎さん
大島さんって、思ったものがそのまま出てくるとあまり面白がらない。だから、企画を見せた時に「そうそう、オレが言いたかったのはこれなんだよ!」と言ってもらうと嬉しいし、どこかそれを目指せばいいっていうシンプルさが僕はとても好きでした。

ー 大島さんが亡くなる一週間前にも、高崎さんはサントリーウイスキー「Ao」のコピーを大島さんに見せていらっしゃいましたよね。

ー 高崎さん
昔みたいにたくさんのコピーを見せて。大島さんもすごい喜んでくれて。あんなに細くなってるのに、コピーを見て気に入ったのがでてくると「元気出るな!」とか言って。いい顔だった。「このコピーがあれば売れるな、飲もう!」って。本当に特別な夜だった。あの数時間で僕は、大きくて答えのない問題に、ひとつの答えを見た気がしました。かっこよかったんですとにかく。

▲ 大島の自宅にて、ミーティングを行う高崎さんと大島。

ー 齋藤
仕事のゴールが見えると、「飲みに行こう」って言うのが口癖でしたね(笑)

ー 高崎さん
大島さんには、「これで売れるな!飲みに行こう!」って言われるのがいちばんうれしい。「いいコピーだな」って言われるよりも、「売れるな、飲みに行こう」がいちばん。

ー 齋藤
それがまた本当に幸せそうな顔をして言うんですよね。

ー 高崎さん
あぁ、もうちょっと大島さんと色んなことを話しておけばよかったかな。まあ、いいか。いつでも会えるから。

ー 齋藤
仕事のゴールが見えると、「飲みに行こう」って言うのが口癖でしたね(笑)

ー 高崎さん
大島さんには、「これで売れるな!飲みに行こう!」って言われるのがいちばんうれしい。「いいコピーだな」って言われるよりも、「売れるな、飲みに行こう」がいちばん。

ー 齋藤
それがまた本当に幸せそうな顔をして言うんですよね。

ー 高崎さん
あぁ、もうちょっと大島さんと色んなことを話しておけばよかったかな。まあ、いいか。いつでも会えるから。

 普遍のレシピは、
「おもしろい」と「ありがとう」の
 ハーフ&ハーフ。

 普遍のレシピは、
「おもしろい」と「ありがとう」の
 ハーフ&ハーフ。

ー ありがとうございます。最後に大島に遺されたdofのメンバーへもメッセージをいただきたいのですが、よろしいでしょうか?

ー 高崎さん
広告はいつの時代も価値も手段も変化しつづけるものです。今まで僕たちが夢中でやってきた広告は、歴史として考えたら元禄時代みたいな一瞬の華だったかもしれない。だから後ろをふりかえって、広告とはこうだと決めつけて、内側だけを向いて、仕事をしているとその仕事は時代そのものからズレてしまう。大島さんも自分がやってきたようなものを再現しても絶対に「つまんない」って言うと思います。それよりも、いまの時代をちゃんと面白がって、簡単に言えば「酒がうまい企画」をできているかどうか。それがすべてなんじゃないかと思います。
大島さんの仕事って、突き詰めると自分が「面白い」と思っていることと、仕事をくれたクライアントが「ありがとう」って言ってくれることを重ねて最大出力でやるってこと。アウトプットの場所も、やることもどんどん変わっていくと思うんだけど、「面白い」と「ありがとう」がハーフ&ハーフで混ざっていて、それをつまみに酒を飲むのが最高にうまいんだよなっていうのが、大島さんから学んだ普遍の広告のレシピなのかなと。
大島さんを振り返って大島さんっぽいことをする必要もない。いまの時代を見つめながらちゃんと考えて仕事をしていかないと、そのへんにいる大島さんが出てきて「お前、最近つまらないな」って言われちゃいそうな気がする(笑)。

ー ありがとうございます。最後に大島に遺されたdofのメンバーへもメッセージをいただきたいのですが、よろしいでしょうか?

ー 高崎さん
広告はいつの時代も価値も手段も変化しつづけるものです。今まで僕たちが夢中でやってきた広告は、歴史として考えたら元禄時代みたいな一瞬の華だったかもしれない。だから後ろをふりかえって、広告とはこうだと決めつけて、内側だけを向いて、仕事をしているとその仕事は時代そのものからズレてしまう。大島さんも自分がやってきたようなものを再現しても絶対に「つまんない」って言うと思います。それよりも、いまの時代をちゃんと面白がって、簡単に言えば「酒がうまい企画」をできているかどうか。それがすべてなんじゃないかと思います。
大島さんの仕事って、突き詰めると自分が「面白い」と思っていることと、仕事をくれたクライアントが「ありがとう」って言ってくれることを重ねて最大出力でやるってこと。アウトプットの場所も、やることもどんどん変わっていくと思うんだけど、「面白い」と「ありがとう」がハーフ&ハーフで混ざっていて、それをつまみに酒を飲むのが最高にうまいんだよなっていうのが、大島さんから学んだ普遍の広告のレシピなのかなと。
大島さんを振り返って大島さんっぽいことをする必要もない。いまの時代を見つめながらちゃんと考えて仕事をしていかないと、そのへんにいる大島さんが出てきて「お前、最近つまらないな」って言われちゃいそうな気がする(笑)。

ー 齋藤
そのへんにいて、見てますよね(笑)

ー 高崎さん
しかもあのひといつも学習してるから。「最近は縦型だ!」とか言い出しかねない。

ー 齋藤
言ってそう(笑)

ー 高崎さん
「縦でやるときのコツはな」とか最初に言い出すタイプ。

ー 齋藤
絶対、言ってますね。新しい縦型のルールをつくりだしそう。

ー 高崎さん
また大島さんに会ったら褒めてもらえるように、みんなで頑張ろうね。

ー 齋藤
そのへんにいて、見てますよね(笑)

ー 高崎さん
しかもあのひといつも学習してるから。「最近は縦型だ!」とか言い出しかねない。

ー 齋藤
言ってそう(笑)

ー 高崎さん
「縦でやるときのコツはな」とか最初に言い出すタイプ。

ー 齋藤
絶対、言ってますね。新しい縦型のルールをつくりだしそう。

ー 高崎さん
また大島さんに会ったら褒めてもらえるように、みんなで頑張ろうね。

▲ 左から高崎さん、齋藤、大島、弘前の名店「しまや」の女将、名執さん(元ピクト代表取締役。大島とともにTOYOTAやJRのキャンペーンを長年手がけた名プロデューサー)。JRのキャンペーンでロケセットとしてご協力いただいた、弘前の「しまや」にて(惜しまれつつも、現在は閉業)。

みなさん、Memorial dof talkはいかがでしたか?これにて一年間続いた連載もひと段落。この連載を続けてきた時間は、dofメンバーにとってもたくさんの人に愛され、たくさんの人を愛した大島の人となりに触れるたいせつな時間となりました。取材にご協力いただいたみなさま、記事を読んでいただいたみなさま、本当にありがとうございました。それでは今夜も、乾杯!ありがとう、大島さん。

みなさん、Memorial dof talkはいかがでしたか?これにて一年間続いた連載もひと段落。この連載を続けてきた時間は、dofメンバーにとってもたくさんの人に愛され、たくさんの人を愛した大島の人となりに触れるたいせつな時間となりました。取材にご協力いただいたみなさま、記事を読んでいただいたみなさま、本当にありがとうございました。それでは今夜も、乾杯!ありがとう、大島さん。

文章:野崎愉宇
写真:宇佐見彰太

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