インタビュー

interview

/ 2022.02.28

B to B企業こそブランディングが武器になる

B to B企業こそブランディングが武器になる

2013年にアメリカで創業、2020年12月には東証マザーズに上場を果たした、現在注目されるDX(デジタルトランスフォーメーション)領域においてサービスを展開する株式会社Kaizen Platform様。
世界を舞台にDX業界を牽引する代表取締役の須藤憲司さんは、上場にあたって「B to Bの企業にもブランディングが必要」と、株式会社Kaizen Platformのブランド構築をスタート。
dofのメンバーと共に今もなおブランドをアップデートし続けている須藤さんに、当初より伴走するdofのブランディング・ディレクター工藤拓真がお話を伺いました。

2013年にアメリカで創業、2020年12月には東証マザーズに上場を果たした、現在注目されるDX(デジタルトランスフォーメーション)領域においてサービスを展開する株式会社Kaizen Platform様。
世界を舞台にDX業界を牽引する代表取締役の須藤憲司さんは、上場にあたって「B to Bの企業にもブランディングが必要」と、株式会社Kaizen Platformのブランド構築をスタート。
dofのメンバーと共に今もなおブランドをアップデートし続けている須藤さんに、当初より伴走するdofのブランディング・ディレクター工藤拓真がお話を伺いました。

BtoB企業として不可欠なブランディング

―工藤拓真(以下:工藤)
今日は宜しくお願い致します。須藤社長ではなく、いつものスドケン(須藤社長の愛称)さんと呼ばせていただきます。
スドケンさんには、僕が以前携わっていた「NewsPicks」というメディアで大変お世話になっていました。DXの第一人者として、さまざまなコンテンツに出演いただいていたんです。で、僕が電通を卒業した直後、スドケンさんから「今度、うちの会社のブランディングとか、ご一緒しませんか?」とお誘いいただきまして。

―須藤さま
2020年の秋くらいからですかね。

―工藤
その頃です。Kaizen PlatformさんはDXを通じてあらゆる企業課題を改善させるB to Bの企業ですが、そもそもどうしてブランディングをしていこうと決意されたのですか?

―須藤さま
上場すると情報を開示することになるので、いろいろ模倣されることを前提に事業を推進しなくてはなりません。デジタルの領域はコモディティ化(代替可能性)が激しく、どうプロテクトしていくかというときに、ブランドがとても重要になると思ったんです。B to Bのビジネスの場合は特に、私たちはこういう企業ですというよりも、お客様からどう見えているのかが重要なんですね。つまり、どのようなブランドなのかは、お客様が決めること。長期的な信頼関係や競争力を構築して行くにはそこをきちんと考えた上で、ブランドを確立させていくことが大切だと考えたんです。
上場前に、①社内オペレーションを確実にすること。②M&Aを考えること。そして、③ブランドを確立させることという、重視していた3つのポイントがありました。①と②は自分たちで考え実行していくものですが、③はやはりお客様からの目線を客観的に捉える意味で、自分たちだけで実行するのはどうしても難しい。その道のプロである太郎さん(dof代表の齋藤太郎)のことも知っていたし、工藤さんのことも知っていたし、迷うことなくdofさんに株式会社Kaizen Platformのこれからのブランドづくりをお願いしようと思いました。

子どもにも分かる表現で、会社の大義をうたう

―工藤
Kaizen Platformとは何か?どうしてKaizen Platformなのか?Kaizen Platformが提供する価値とは何なのかなど、いろんな情報を整理するところからスタートしましたね。

―須藤さま
DXという言葉がいろんなところでかなり使われ出して、本物とそうでないものを明確化する必要もありました。

―工藤
株式会社Kaizen PlatformをDXの一丁目一番地とするために、DXといえばKaizen Platformというファクトを丁寧に積み重ねていきました。『DX白書』という分厚いペーパーを発行したり、様々なPRリリースを配信したり。

―須藤さま
そして、『顧客体験DX』というキーワードを開発してもらったんですよね。それにより、お客様の体験がデジタルによってどう変わったのかがDXの本質だと明確化できました。dofさんといろんな話をしていく中で点と点が線になり、具体的な行動に繋がっていきました。

―工藤
B to Bマーケティングにおいては、旬が来てあっという間に過ぎ去るということも多くあります。DXもある意味誰でも言えてしまいますが、それを取り払って「Kaizen Platformとは何か?」を最初から大事に考えたんですね。打合せでは本当にいろいろな話が出ましたが、その中から絵本も誕生しました。

―須藤さま
B to Bにおけるブランディングというと、ネクタイにスーツをキリッとまとう人たちに訴えていくイメージでしたが、話をするうちにKaizen Platformが本当にやりたいことは分かりやすくって、中学生でも理解できると思ったんです。その意識で表現したいと言ったら、絵本が仕上がった(笑)。

―工藤
サービス、プロダクト、PRなど、訴求するべきことは多いですが、Kaizen Platformが叶えることは実は分かりやすくって、誰にも理解しやすい表現にしようってスドケンさんがおっしゃって。作家さんを巻き込んでスドケンさんの創業の想いとか、何をしたいかということが明確かつ簡単に分かる絵本づくりが始まりました。

―須藤さま
その頃はステークホルダーについて深く考えていて、顧客や従業員はもちろんですが、従業員の子どもや家族も大切だと思ったんです。元々「世の中なんでこうなってるの?」という自分の中で憤りがあって、時代に合わせて変えていけばいいと思って起業した訳です。そんなところも盛り込んでいただきながら。

―工藤
スドケンさんのストレートな想いが詰まった、明確なストーリーでしたね。難しい説明ではなく、人や想いの物語だから、子どもでも読めて理解もしやすい。

―須藤さま
DXが流行っているから手がけているのではない。ブランドとして核となるとても大切なものを、とても優しく、分かりやすく形にしていただきました。

ブランディングには、経営のコミットメントが試される

―工藤
絵本やステートメントなどの反響はいかがでしたか?

―須藤さま
顧客や業界での反響も大きかったですが、最も変化を感じたのは社内の意識です。ミッション・ビジョン・バリューも「きちんと理解して大切にしていきたい」といろんな議論が生まれ、みんながより真剣になっているんです。今もアップデート中で、工藤さんにもいろんなアドバイスをいただいています。

―工藤
週一のミーティングでは、変えていくことに加えて、あえて変えないというという判断もあります。スドケンさんの即断にはいつも驚かされます。

―須藤さま
B to B企業のブランディングって、事業と経営が一体化しないと意味が無いと思うんです。例えば、経営者がいて、ブランディングの担当者がいて、事業を推進する人がいて、マーケティングを担当する人がいて…と、分業は普通のことですが、本来経営としては一つのはずなんです。だから行ったり来たりしながら、経営がコミットしなければいけないんです。

―工藤
Kaizen Platformの仕事は“カイゼン(改善)”がキーワードですから、現場がすごく尊重されていますね。そこに中長期の視点を加味して常に今のジャッジをする必要があって、それができるのは経営者ということですね。

―須藤さま
短期と長期の費用対効果があって、ブランディングは長期の方です。B to Bは法人がお客様なので法人がどのように受け取るのかが重要で、経営と事業活動とブランドは一体なんですね。工藤さんとプロジェクトを進める中で気づいたのは、経営者は顔が見える人であり、会社は顔が見えにくい法人であるということ。これまではその2つがごっちゃになっていたのですが、使い分けていって良いのだと分かったんです。DXはまだまだこれからの領域です。答えはないし、展開の予測も困難です。会社にはいろんなプロがいて、いろんなプロジェクトが動いています。経営者である須藤は須藤として、一方で会社は会社として、より広く深くアプローチしていくべきだと。

―工藤
どちらも遠慮せずに、振り切ってやっていくことが重要ですよね。

―須藤さま
DXには可能性があって、面白いという感情的な価値は経営者である須藤が発信して、ソリューションや利益に繋がるという実質的な価値は会社としてきちんと打ち出していく。その両輪が重要なんですね。

―工藤
Kaizen Platformの場合は、目の前のお客様、そのお客様のお客様、さらにその先…と、何をどうしたら改善されるかということをひたすらに追究しています。ブレることなく続けることで、Kaizen Platformというブランドがつくられていきます。

―須藤さま
ブランディングは手段なんです。ブランドによって成し遂げたい目的がある。この目的というのは、常にピントを合わせるというかフォーカスし続けるというか、いつも解像度を高め続けておくことが本当に重要で。その解像度を上げ続けるというときに、工藤さんの存在って大きいんですよ。打合せをする度に感じるのですが、dofのメンバー一人ひとりが“解釈する力”がすごい。僕の抽象的な話を受け取ってしっかりと解釈をした上で、それに基づいた提案をして下さる。だから議論をするごとにバラバラだった情報が整理されて、それが土台として積み重なって強固になっていく。ビジネスパートナー選びで大切なのは、その積み重ねができるかどうか。非常に重要なポイントだと思います。

―工藤
スドケンさんはじめKaizen Platformの皆さんが、僕らに門戸を開いて下さっているからです。ひっくり返すような話をこちらからしたとしても、積み重なり上向く内容であればウェルカムで受け入れて下さるから。

―須藤さま
結局のところ、信頼関係なんですね。信頼関係を築くということは、解釈がきちんとあって、議論が積み重なって、この人に相談すれば何とかしてくれる、と感じさせること。dofさんはリアルに、何とかしてくれる(笑)。これからも「21世紀のなめらかな働き方で 世界をカイゼンする」という使命を果たしていくために、dofの存在は重要ですよ。

―工藤
ありがとうございます。Kaizen Platformさんが大事にしている言葉に、「顧客の顧客を考え抜く」という言葉があって。B to Bブランドって、日々新しいキーワードが生まれては死んでいく世界ですけど、いつだってカギは顧客の顧客が握っているんだと思います。そんな基本のキを忘れることなく、さらにKAIZENブランドを磨く一年にできればと思いました。

>WORKS

■ 株式会社Kaizen Platform
> VISIT BRAND SITE

取材・構成・文 西原真志(株式会社ライター)
撮影 sono
編集 徳間書店

※dofでは随時新しいメンバーを募集中です。
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> RECRUIT

インタビュー参加者

インタビュー参加者

株式会社Kaizen Platform 代表取締役

須藤憲司 様

株式会社dof 執行役員 / ブランディング・ディレクター

工藤拓真

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