2024.03.08

これが“どふ流”、CESの歩き方。

これが“どふ流”、CESの歩き方。

アメリカで、毎年開催される世界最大のエレクトロニクス&テクノロジーの祭典、CES。実はコロナ禍以前から、dofのメンバーでこのイベントに参加するのが通例となっています。
今年は、齋藤太郎、工藤拓真、川名孝幸、高野俊一、宇佐見彰太の5人が参加しました。
「CESの歩き方」はいろいろなところで語られていますが、dofのCES探訪は(おそらく)それらとは一線を画す“dofらしさ全開”の旅。
今回は、その旅に参加した5人が、一連の“dof流”CES視察旅で得たものを語った座談会の模様をお送りします。

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いざ、テックの祭典へ!
dofメンバーから見た
CES2024はどんな景色?

いざ、テックの祭典へ!
dofメンバーから見た
CES2024はどんな景色?

聞き手:
今回のテーマは、CES視察。まずは皆さん、お疲れ様でした!
さっそくですが、一見畑違いのCESに、dofメンバーが視察に行くようになったきっかけを教えてください。
太郎:
CESには2010年ごろから行くようになりました。JINSの案件でウェアラブルデバイスを出そう!という話が出て、そのための視察としてJINSの皆さんと一緒に行ったのが最初です。
聞き手:
CES以外にも、こうしたオフサイトでのイベントにはよく参加されていたんですか?
太郎:
今でこそいろいろなイベントに意識的に参加していますが、CES以前に参加していたのは、カンヌ広告祭くらいでしたね。広告祭には広告祭の魅力や深みがあると思いますが、初めてのCESで圧倒されてしまって。それがいろいろなイベントに行くようになったきっかけにもなりました。
聞き手:
どんなところに圧倒されたのでしょうか?
太郎:
今の時代、エレクトロニクスってあらゆるものに繋がっているじゃないですか。CESでは世界中の企業がこぞって最新の技術を搭載したプロダクトやサービスを展示していて、そこで発表されたことはその日のうちに世界中でニュースになる。そこかしこでグローバルな真剣勝負の商談も行われている。そういったところから、「あぁ、ビジネスがここで動いてるんだな」っていう感覚が得られたのが圧倒されたポイントです。
聞き手:
なるほど、いろいろな出会いがありそうですね。
太郎:
まさにそうで、現在dofとして支援させていただいているポケトークの松田社長からポケトークのコミュニケーション展開のご相談をいただいたのもCESでしたし、懇意にさせて頂いている「dof幽霊社員」である、IT批評家尾原さんとの出会いもCESが最初でした。

▲ HD HYUNDAIの無人パワーショベルの展示

聞き手:
参加したメンバーのみなさんにとって、今回のCESはいかがでしたか?
川名:
僕は2019年にも参加したのですが、以前に比べて、全体的にWOW!は少ない印象でしたね。一方で韓国勢の勢いと、プレゼンテーションの仕方がより重要になってきていると感じました。
工藤:
そうですね。僕は前職の頃、クライアントの展示ディレクションで3年ほどCESに携わっていました。当時と比べて、戦い方がより複雑になっているなと感じました。以前のCESは、見れば視覚的にその新しさがわかる展示が多かった印象でしたが、今回は新しさが一見しても分からない。ある程度予備知識を持って見て回らないと何がどうスゴいのか、わからないモノや技術が多いなと。また、「韓国勢がなんでこんなに勢いがあるのか?」だったり、CES文脈を利用して盛り上がりを見せていた『Rabbit R1』のような場外乱闘も含めて、CESをめぐる戦略が複雑化しています。こうした背景をインプットしてから参加することで今のビジネスシーンへの学びがより深まる、ということを実感しました。
太郎:
今って、新しい技術やコンセプトが生まれた時に一瞬で情報が広がるし、どんどん社会実装もされていくから、「WOW!」になりにくいんだと思います。以前のCESでは、ほぼSFみたいな「未来ムービー」の中で、見たこともないような「WOW!」な技術を見せられて、それが1-2年後に少しづつ社会実装されて「あっ、あの時の!」と感じるような流れもあったんですけど。今回の傾向としては、どちらかというと手堅く、すぐに社会実装できるものを見せます、という印象のものが多かったですね。テクノロジー自体も、AIとか、クラウドとか、目に見えないところにキモの部分が遷っているのもその要因だと思います。

▲ 現地での食事会で学びをシェア!

高野:
見せ方の部分でいうと、韓国勢の展示は勉強になりました。韓流ドラマとかK-POPのように、「エンタメ」として質を高めているから、同じ技術でもよりよく見える、というところは強く感じましたね。さらにそれが韓国の展示全体を通じて言えるので、国という単位で見ても「韓国が元気だな」という形での国際情勢や経済観の認識にもつながっていると感じました。
宇佐見:
AIをはじめとした、技術的な意味での「スゴい部分」がプロダクトの裏方的な存在になっていることもあって、さまざまなニッチな分野の課題に目を向けたモノが多かった印象を受けました。
そんな中で、ZION国立公園にキャンプに行った後にCESに行けたのがとても良かったと思っていて。CESにもキャンプニーズに応えたプロダクトが多く出ていたのですが、実際にキャンプをしてきたからその価値がわかる、といった具合に、dofが大切にしている「文化と価値の体験」がビジネス面での価値の理解につながる、ということの実感が持てました。
川名:
オフサイトでの学びを、メンバーや交流のある他社の皆さんと現地でシェアできたのも学びが深まり、魅力的でしたね。

出張でキャンピングカーにオフロードバギー!
貪欲なまでに「体験」を追求するスタイル。

出張でキャンピングカーにオフロードバギー!
貪欲なまでに「体験」を追求するスタイル。


▲これがdof流CES旅のスケジュール!

▲ 今回5泊6日の宿となった巨大キャンピングカー

聞き手:
先ほどキャンプの話が出ましたが、今回はCES以外にも非常に濃密な旅程だったようですね。
太郎:
せっかくの機会だし、それをチャンスとして捉えて、色々な文化に触れるというのはすごく重要だと思ってます。今回はCESの直前が三連休でもあったので、仕事と遊びの境界も敢えて曖昧にしながら、行ける限りの体験や視察を盛り込みました。(いつも曖昧なんですが笑)もちろんクライアントのみなさまやパートナーのみなさまにはご迷惑をかけないように、が大前提です。
工藤:
CESと合わせて現地のエンタメや体験を、というのは多くの日本企業の方々もされていることだとは思うんですけど、dofの場合は、CESの中でも外でも、毎日、毎時間、「いかに体験からなんらかの学びを持って帰るか」を試されているような感じです。そのためのハードな旅程を、太郎さんの卓越した「予約力」で組んでもらったという(笑)
太郎:
そうそう、こういう体験からの学びが「芸の肥やし」になるんだよね。

▲ ラスベガスの駐車場にて

聞き手:
CES期間中も含めて、今回は旅程の大部分がキャンピングカー生活だったと聞いたのですが…。
宇佐見:
6人がゆったり寝ることができる、マイクロバスくらいのサイズのキャンピングカー2台で生活しました。まずはZION国立公園に行って2泊のキャンプから始まりましたね。
太郎:
もう文字通り「家が走る」感じですね。ダブルベッドが2つ、シングルベッドも2つ、バストイレが別、ガスコンロが3口、電子レンジや冷蔵庫もファミリー用のものが載ってる6人乗りの巨大サイズをレンタルしました。
高野:
それを2台(12名分)借りて5人で過ごしたので、本当に広々と過ごせました。
川名:
ラスベガスに戻って、CES期間中もキャンピングカーで生活する、というのがdofらしさを表すポイントだと思います(笑)

▲ ZION国立公園トレイルの様子

聞き手:
CES外での体験で印象的だったことはなんですか?
川名:
手付かずの大自然の中でのキャンプやトレイルなどのアクティビティに加え、、今話題のVRゲームに“Sphere”の映像体験、“America’s Got Talent’などエンタメ体験、さらにはアイスホッケー(NHL)といったスポーツ観戦まで、本当に幅広い体験をしました。その中で、荒野をオフロードバギーで走り回って横転させしてしまうなど、いろんなハプニングもありました(笑)
工藤:
そのせつは…。
太郎:
今回の体験の中でも、特にバギーの体験は他ではできないですね。世田谷区くらいあるんじゃないかっていう広大な荒野を自由に走り回るなんて、日本だったら絶対に味わえない快感があります。
川名:
個人的にはZION国立公園のトレイルが一番楽しくて印象に残りました。後から振り返ると、様々な濃密な体験をしたからこそ「意外にもこれが思い出に残ってるんだ」という発見もあって。「人の記憶の残り方」とか、「心のひだ」みたいなものについても学びがありました。

▲ 横転したバギー

宇佐見:
広大な自然の中でのキャンプは非日常体験で、そこで料理をしたり、本当に気持ちよかったです。また、僕は日本でよくスポーツ観戦に行くのですが、本場のアイスホッケー(NHL)の試合を観て、エンタメとしてめちゃくちゃ完成度が高いのにも驚きました。ルールをあんまりわかってないのにこんなに楽しめるんだ!と感じて、スポーツの仕掛け方における日本との比較、という意味でもとても刺激的でした。
工藤:
仕事をしていく中でも、クライアントさんとどういう未来をつくっていくかとか、どういう形でブランドを育てるかって考えるときに、気づいたら「東京ではこうだ」とか「自分達の半径数キロメートルではこうだ」みたいな閉じた発想になってしまうことがあります。CESで出会うビジネスやテクノロジーもそうですが、CES外での体験も含めて、自分の世界観をガーッと広げてくれる体験は重要だなと改めて感じました。

思考はでっかく!
「阿吽の呼吸」でさらなる文化と価値の創造へ!

▲ Sphere前にて

聞き手:
みなさんのお話から、本当に濃密な旅だったことが伝わってきました。最後に、今回の旅で得たものの総括をお願いします。
宇佐見:
dofに入ってから、長期の視察旅行は初めて参加したのですが、もう衝撃的なくらい目まぐるしい旅で。自分でセッティングする旅の3倍も5倍も濃密でした。
高野:
いや、2回目でも驚くほど濃密でしたよ。数ヶ月いたんじゃないかっていうくらい(笑)
宇佐見:
やっぱりそうですか(笑)
その上で、自分では想像もしなかった体験もそうだし、CESでの多様なビジネスモデルとの出会いも、どちらも自分のコンフォートゾーンの外側での強制的な出会いの連続で、それがすごく良かったなと思っています。
高野:
やっぱりいろいろな国や地域に実際に行って、そこでの体験や新たな視座を得ると物の見方が大きく変わるんだなと実感しました。日本から見た世界、世界からの日本、どちらも実際に外に出ると違って見えるし、時折こういう機会を持つことで、局所的な、閉じた発想にならないことが大事なのかなと。

▲ バギーで到達!Top of the Worldにて

工藤:
そうそう、楽しかったし、アメリカはめちゃくちゃでかい。そして人間はちっぽけだなって感じました。
ラスベガスってすごい場所で、砂漠の中にどーんと街があって、でも車でしばらく走ると未開の地のような自然が広がっていて。CESのテクノロジーもそうだし、CESをこのラスベガスに誘致して、世界中の人をここに集めているっていう事実もすごいんですけど、それと同時に雄大な自然に触れることで時間的にも空間的にも大きなスケールで物を考えよう、というマインドを持てたのが今回得たものの中でもすごく大きかったなと思います。
宇佐見:
ホントにそうですね。数々の体験を通じて「文化と価値の創造」につながる引き出しが増やせたと思いますし、これからも「濃密な旅」にチャレンジしながら、より良い仕事としてクライアントのみなさまにお返しできるものを増やしていければいいなと思いました。まさに「予約力」が仕事を変えて、人生をも変える、ってことなのかなと思います。
高野:
僕もコロナもあって出無精になっていた部分もありますが、自分自身も、まずはこの1年、そういう視座を持って積極的に動いてみたいなと思いました。

▲ dofの火入師と言えばこの人!

川名:
dofのハッピー鬼十則に「好奇心は不死身だ。」という行動指針があるのですが、改めて好奇心こそが仕事の糧だということを強く感じました。
あとはチームワーク。社員同士で24時間一緒にいることで、いつもより深い会話ができたのが一番の収穫だったなと思っています。
太郎:
何より得られたのは、この一体感ですね。
共同生活をすると、それぞれができることをやる。キャンプであれば、火を起こす人、料理する人、お皿を洗う人、朝のコーヒーを淹れる人、BGMをかける人みたいな感じでそれぞれの得意領域で自然と役割がついてくるじゃないですか。CESでも同じで、ゾロゾロ連れ添って回るんじゃなくて、それぞれが「誰かと会ってきます」とか「こっちのホール、興味あるんで観てきます」とか、都度都度自由に動いて、あとで学びを持ち寄る。阿吽の呼吸というのは、そこから生まれてくるんだと思います。dofは「各々がプロフェッショナルとして自由に動く組織」っていう面があるから、阿吽の呼吸がとても大事で。それが本当のチームワークだなと、改めて感じさせてくれる旅でした。
聞き手:
ありがとうございました!このチームワークで、これからも文化と価値の創造に邁進しましょう!

▲ dofのバリュー、ハッピー鬼十則

● 構成・文:宇佐見 彰太(dof)

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