COLUMN

川名 孝幸

Takayuki Kawana

【初体験】CES2019コラム

CES2019

川名です。先月「CES2019」を初体験してきたので、その様子や感じたことをコラムに書きたいと思います。
 
◾︎本コラムは、以下のような方に読んで頂くことをお勧めします。
・今年のテクノロジーのトレンドをざっくり掴みたい方
・CESには参加したことはないが今後参加しようか迷っている方

CESとは

CESとは
CESは「ドラえもんの四次元ポケット」をひっくり返したような場所です。
ラスベガスの広大な敷地に様々な最新デバイスが展示されており、
まさに「未来でつくられた道具」が所狭しと並んでいる印象を受けました。
クオリティにバラつきこそあるものの、ドラえもんもビックリの品揃えです。
その領域はAI、Robotics、音声認識、自動運転、VR/AR、デジタルヘルス…など多岐に渡り、
とてもじゃないですが全てを見切ることはできません。

初体験なのに..

毎年参加しているベテラン勢の方々は、
口を揃えてこんなことを仰っていました。
 
「今年のCESはサプライズが無かった。」
 
 
毎年「未来の道具のお披露目」の場となっていたCESも、
今年は例年のような革新的サービスやデバイスによる大きなサプライズが無かったようです。
これはCES初体験の僕には残酷なフレーズでした。
意気揚々と初めて訪れているのに、今年は「ハズレ年」みたいであんまりじゃないか、と思いました。
しかしCESを実際に体験すると「ハズレ年」ではなく「変化の年」であることに気がつきました。
 
どう変化したのか?
 
どうやらCESは「未来の道具を提示する場」から、
「未来の暮らしを提示する場」に移行したようです。
未来のテクノロジーが当たり前になった時、
人間はどのように豊かになっていくのか。
より具体的なライフスタイルを各企業が提案している印象でした。
「技術革新」から「技術浸透」のフェーズに差し掛かっているとも言えるかと思います。
 
そんな「未来の暮らし」を感じた例を幾つかピックアップします。

「自動運転」が当たり前の暮らし

昨年TOYOTAの「e-Palette」が話題になっていましたが、
今年の自動車メーカーは軒並みe-Palette

同じようなコンセプトカーを発表していました。
 
例えばパナソニックの「SPACe_C」は、
車内で胸部レントゲンや心拍数を計測し「健康診断」が出来ちゃうモビリティ。
このモビリティが浸透すると病気の早期発見や、
病院が少ない地方での診療などに役立ちます。
どの企業も、自動運転という技術のベースの元、
「運転中の余暇をどうデザインするか」という
技術から一歩踏み込んだ生活を描いていました。
今回CESで強く感じたことは、
20世紀は「支配することで便利を獲得する時代」で、
21世紀は「支配されることで便利を獲得する時代」であるということです。
 
「車」は機械を支配し移動する道具でした。
しかしAIによって自動運転が確立され、何なら健康まで車に管理される時代になろうとしています。
(そのテクノロジーは人間が開発しているので大きな意味では支配の進化ですが。)
テクノロジーとのヒエラルキーが大きく変化する21世紀、
人間の欲望はどう変化していくのか興味深いですね。

「音声認識」が当たり前の暮らし

アメリカではアレクサかGoogle homeが、
80%以上の家庭で使われているそうです。
弊社のオフィスにもアレクサがいますが、
毎日話しかけるのが当たり前になりました。
AIが真新しく無くなった今、最も溶け込んでいるAIは「音声認識AI」だと言えるでしょう。
そんな「音声認識AI」が今後もっと暮らしに溶け込んでいくだろうと予感させられたのが、
KOHLERの「Numi 2.0」。
 

 
トイレやお風呂とアレクサが連動し、
声をかけるとその時の最適なコンディションのお風呂&トイレ環境をつくってくれるというもの。
「お風呂やトイレにいる時くらいほっといて欲しい..」と最初は思いましたが、
「アレクサ、昨日は飲みすぎた..」と呟くと、熱めのシャワーを浴びせられる未来が来るかも知れません。

5G元年

今年は大きなニュースが無かったと書きましたが、
大々的にプッシュされていたのが「5G」です。
※5Gとは大容量かつ高速でデータを送受信できる通信システムのこと。
 
自動運転や音声認識にように具体的なサービスがまだないのでリアリティはまだありませんでしたが、
この技術が浸透にすることによってあらゆるサービス、そしてデバイスが加速度的に進化すると言われています。
 
こちらは今年のCESの5Gについてのキーノートですが、
150年以上続くメディアであるNew York Timesが、
5Gが浸透した時のメディアの在り方を考える「5G Lab」を立ち上げたと発表しています。
(13:47~からNew York TimesのCEOのキーノート)
 

 
New York TimesのCEOは「5Gがジャーナリズムの在り方を変える」と発言しています。
5Gが普及することによってリアルタイムでドローンやVRでニュースを中継することが可能になると。
リアルタイムで世界中の無人のドローンがAIによって異常を感知するようになると、
ジャーナリズムどころか犯罪や災害による被害そのものが減少しそうですよね。
世界中のあらゆる事象が5GとAIによって観察&解析可能になった未来は、
少し怖くもありますが、恩恵の方が多そうです。
「もっと早く、もっとたくさん繋がる未来」を、
どうポジティブに創っていくかが今後の鍵になりそうです。

最後に

ざっくりとCES初体験の感想を書かせて頂きましたが、
最後に「CES未体験」の方に僕が感じたCESの魅力をお伝えしたいと思います。
それはズバリ「仲間と恥ずかしげもなく未来を語れる」ところです。
CESの会場で様々なデバイスはキーノートを見ることも勉強になりましたが、
その後みんなで未来について妄想をぶつけ合う時間が尋常じゃなく楽しかった。
普段あらゆる課題解決を仕事の生業としているので、
未来についてはたくさん議論している方だと思っていましたがまだまだ甘かったです。
これからCESに参加される方は、
仲間と行くかCESで仲間を見つけることをお勧めします。
もし良かったら、来年ぼくとCESで未来について語り合いましょう。