2025.10.01

「書く」ことの未来を背負って。
三菱鉛筆とdofが挑んだ、
ZENTO開発の舞台裏。

「書く」ことの未来を背負って。
三菱鉛筆とdofが挑んだ、
ZENTO開発の舞台裏。

2025年2月3日、三菱鉛筆株式会社が新たに発表した水性ボールペン『uniball ZENTO(ユニボール ゼント)』が、国内にて展開をスタートしました。北米市場でのローンチを経て登場したこのプロダクトは、「すいすい書ける」という筆記体験にこだわり、現代のストレス社会において“自分と向き合う時間”を生み出すことを目指した、新感覚の水性ボールペンです。
今回のdof talkでは、三菱鉛筆株式会社 代表取締役社長・数原滋彦さん(以下、数原さん)、コンセプト開発やネーミングなど、ブランド開発を支援したdof執行役員/ブランディング・ディレクターの工藤拓真(以下、工藤)、dofビジネス・プロデューサーの石井岳(以下、石井)が登場。ZENTOという新たなブランドに込めた想いや、グローバルブランドとしての挑戦、そしてリーダーとしての視点について語り合いました。どふぞご覧ください。

2025年2月3日、三菱鉛筆株式会社が新たに発表した水性ボールペン『uniball ZENTO(ユニボール ゼント)』が、国内にて展開をスタートしました。北米市場でのローンチを経て登場したこのプロダクトは、「すいすい書ける」という筆記体験にこだわり、現代のストレス社会において“自分と向き合う時間”を生み出すことを目指した、新感覚の水性ボールペンです。
今回のdof talkでは、三菱鉛筆株式会社 代表取締役社長・数原滋彦さん(以下、数原さん)、コンセプト開発やネーミングなど、ブランド開発を支援したdof執行役員/ブランディング・ディレクターの工藤拓真(以下、工藤)、dofビジネス・プロデューサーの石井岳(以下、石井)が登場。ZENTOという新たなブランドに込めた想いや、グローバルブランドとしての挑戦、そしてリーダーとしての視点について語り合いました。どふぞご覧ください。

世界一の表現革新カンパニーを掲げて4年、
世界に本気で挑むプロダクトづくり

ー石井
uniのビジョン「世界一の表現革新カンパニー」という表明、非常に印象的です。そうした背景がある中で、今回の新ブランドの開発背景にはどのようなものがあったのか教えてください。
ー数原さん
筆記具って、単に「書く」道具ではなくて、自分の中にあるものを表現するツールであると、領域を広げることができる。そこに、企業としての提供価値を見出したんですね。
今の日本の状況を見ると、人口減少やデジタル化によって“書く”行為自体が減っていくという前提があります。だからこそ、希少化する「書く」ことの価値を高めていく。それが我々の使命だと考えています。
そういった考えの中で、書くという行為の本質を背負わせるプロダクトのひとつが「uniball ZENTO」です。

ー石井
書くだけじゃなくて、自分と向き合うことができるツールってことですよね。そういう意味でZENTOは、まさに書くことの意義や価値を、商品を通して再定義している。
ー数原さん
ZENTOに使われているインクは、長年社内の研究開発メンバーが積み重ねてきた技術の結晶です。それを活かすなら、従来のように“技術ベース”のプロダクトブランドにとどまらず、新しいブランド構造を再定義する必要があると考えました。
そこで、dofさんとタッグを組んで、ブランドとしての在り方を一から考え直しました。これは、今後長く育てていくべきブランドにするための大きな一歩でした。

世界で戦うブランドづくり

ー数原さん
また、実はuniという会社は、これまであまり“ブランド”に対するこだわりが強くありませんでした。でも今や売上の6割は海外。これからはグローバルに戦っていく上で、ブランドの存在意義をしっかりと固める必要がある。
これらを三菱鉛筆社内で固めるには難しい中で、ブランディングに強いdofさんと一緒に取り組むことに決めました。伴走いただくことで、社内のブランドに対する認識もかなりレベルアップしたと感じています。
ー工藤
光栄です。今回のプロジェクトでは「まず北米から」というご依頼があり、そこから日本、そして世界へ、という順序が明確に定まっていたのが非常に印象的でした。
グローバルな調査やユーザーの声を集める中で、国によってまったく違う受け取られ方をする文房具に対して、素晴らしい技術を最大化するためのコンセプトのあり方、その先のネーミングやコミュニケーションを中心に、一緒に考え抜きました。

ー工藤
UNIブランドが世界に誇るネットワークは凄い。お尋ねすると、実際に集めていた北米のユーザーの声や現地での知見がどんどん出てきた。ネーミングも机上の空論ではなく、リアルな声をもとに導き出せました。
また、技術先行、プロダクトアウトのブランドと聞くと、企業本意で悪いことだ、なんて言われがちな風潮がありますが、ホントにそうでしょうか?もちろん技術だけに閉じていたら良くありませんが、外を向いた瞬間とても強い武器になる。
ー数原さん
そうなんです。うちは「違いが、美しい。」というコーポレートブランドコンセプトを掲げています。その中でも、「新たな技術で一人ひとりのユニークを輝かせ・・・」という一文がありまして。まさにZENTOはその体現だと思っています。

ZENTOのネーミングに込めた想い

ー数原さん
ご提案いただいたZENTOという名前も、日本らしく良い名前ですよね。世界一の表現革新カンパニーというビジョンを掲げる際にも「書く」という提供価値を見直しており、まさにその前途であるとも言える。表現する名前としてもとても良い響きだと思います。ニュアンスや語感に厳しい北米現地の経営陣も、一度でパッと理解し、愛してくれる名前になりました。
ー工藤
ZENTOという名前は、北米を始めとした先進国で、様々なニュアンスで受け止められている「禅」からインスピレーションを受けています。すでに好評を得ているuniball ONEを「足し算」とするなら、ZENTOは引き算。でもそれは単に質素なわけじゃない。引くからこその豊かさがある。そんな東洋的なアプローチが、今なら文房具でも狙えるんじゃないか?良い意味で、斬新すぎない。ベタな東洋美をぶつけてみました。書くことで、磨かれ、豊かになっていくという感覚。
おかげさまで、世界中の文具好きを中心に、コンセプト自体を好意的に受け取って頂けたようで。世界中の文具、ガジェットYouTuberの方々が、ZENTOのレビュー動画を上げてくださったことには感動しました。
ー数原さん
本当にその通りで、ZENTOが評価されることで、「書くこと」の価値も再認識されている。もちろん、このプロダクトの真の評価が出るのは10年後、20年後かもしれません。
でも、今回dofさんと一緒に切り込めたこと自体が、社内の大きな財産になっています。
ー工藤
ドライな目で「文房具はただの道具」と見る方もいれば、情熱を持って文房具を愛してくださる方もいる。その両極端な視点をしっかり受け止めつつ、どこに着地させるかを探るのがこのプロジェクトでした。
私にとっても筆記具は初の領域でしたが、本当にエキサイティングな体験でした。

世界で戦う組織に、
リーダーとしての想いと覚悟

ー石井
最後に、リーダー論について伺いたいです。社内でのチームの連携や、リーダーとしての引っ張り方について教えてください。
ー数原さん
先代は33年社長を務めていて、会社のことは隅々まで知っていた。でも僕は42歳で就任し、まったく経験がなかった。だからこそ、従来のやり方では通用しないと考えました。
社員はグループ全体で約3,000人。その全員が力を合わせれば、大きな力になる。属人化ではなく、仕組みで回る組織にしなければならないと常に思っています。

ー数原さん
僕でなくとも、誰が社長をやっても大きくなっていくようにしないといけない。その際、役員も、部長も、リーダーに求められる仕事は2つあると思います。それは、「決断する覚悟」と「チームに何かを持ち帰れるネットワーク力」。これが本質だと思っています。
ー工藤
「決めること」と「広げること」ですね。
ー石井
まさにどこのリーダーであっても共通して求められる能力だと思います。
短い時間でしたが、非常に深いお話をありがとうございました。

後編に続く

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